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代理人とは具体的にどういうことか?

 契約を締結したり、解約したりする際には、必ずしも本人自身が署名押印しなければならないというわけではありません。
 親が子供の名前で契約したり、妻が夫名義で契約したりすることは、日常よく行われていることです。

 このような代理についてお話していきたいと思います。

1、代理とは

 契約を締結した場合、いったい誰に契約の効果が生じるのでしょうか。

 そんなもの当然、契約を締結した本人に決まっているじゃないか、と思う人も多いでしょう。
 確かに、私的自治の原則のもとでは、人は自分がしたことについてだけ責任を負い、他人がした行為の責任は負わないというのが大原則です。

 しかし、この原則を貫くと不都合なこともあります。
 たとえば、制限能力者などは、自分一人で契約を締結することができません。
 また、制限能力者でなくても、たとえば、複雑な契約を締結するときには専門的知識を持つ弁護士などに頼んだ方がよい場合もあります。

 そこで、このような場合に、自分に代わって他人に法律行為をしてもらい、その法律行為の効果は自分自身に生じさせる制度が必要となってくるわけです。
 これを代理制度といいます。

2、代理の要件

 代理では、本人(代理権を与えた人)、代理人(代理権を与えられた人)、相手方(代理行為の相手)の三者が登場します。
 代理人が相手方となした法律行為の効果が本人に生じるための要件は、次の3つです。

①有効な代理行為の存在
 代理人の意思表示に、錯誤などの無効原因がないことです。

②代理権の存在
 代理権には、法律の規定によりあらかじめ一定の者に代理権が与えられている場合(これを法定代理権といいます)と、「誰々に代理権を与える」旨の本人の意思表示により発生するもの(これを任意代理権といいます)の2種類があります。
 前述の例でいいますと、制限能力者の親権者や後見人は、法律によって代理権が与えられてるので法定代理人といい、これに対し、契約締結を頼む弁護士などを任意代理人といいます。
 法定代理権の代理権の範囲は、法律の規定によって定められています。
 一方、任意代理権の範囲は、本人と代理人との間の取り決めによります。

③顕名(けんめい)
 顕名とは、代理人が、「今自分が行っている法律行為は、本人にその効果を生じさせるために行っているんですよ」ということを相手方に示すことをいいます。
 具体的には、契約書の中で「菅野哲正代理人乙」などと表します。顕名がないと、相手方は、契約の相手方が代理人なのか本人なのかよく分かりません。
 そこで、契約の相手方に「私はあくまで代理人であって、あなたが契約を結ぶ相手は本人(菅野哲正)ですよ」ということをはっきり示す必要があるのです。
 顕名がない場合、つまり代理人が自分の名前しか示さない場合は、本人に契約の効果は生じません。この場合、あくまで行為を行った代理人自身に契約の効果が生じてしまいます。
 ただ、顕名が必要とされるのは、契約の相手方に誰と契約を結ぶかを認識させるためですから、`たとえ顕名がなくても、相手方が代理人の代理意思を知っていたり、または知り得た場合は、有効に本人に契約の効果が生じます。
 さらに、代理人が契約書などに直接本人の名前を記入することがありますが、このような場合に契約の効果を本人に生じさせても、なんら相手方に不測の損害は与えないので、このような記入方法も有効とされます。

3、表見代理とは

 代理権がない者が代理行為を行った場合を、無権代理といいます。
 無権代理は前述②の要件が欠けるため、無効とされ、本人に契約の効果は生じません。

 しかし、たとえ代理権がなかったとしても、本人に一定の落ち度がある場合には、代理権を信じた相手方を保護して契約の効果を本人に生じさせるべき場合もあります。
 このように、代理権がないのに、一見代理人に見える者のした法律行為の効果を本人に生じさせることを、表見代理といいます。

 表見代理が成立する場合には、以下の3つがあります。

①本当は代理権を与えていないのに、本人が代理人に代理権を与えたかのような表示をした場合
②代理人が、与えられた代理権の範囲を超えて代理行為をしてしまった場合
③かつて代理権を有していた者が、その代理権消滅後にもかかわらず代理行為を行った場合

 これらの場合には、本人側にも一定の落ち度があるといえるので(たとえば、そのような悪い事をする人を選んでしまったという点)、相手方が代理権があると過失なく信じた場合は有効に本人に契約の効果が生じるとされています。

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