部下指導や組織を率いて業務改善を果たすヒントがこのレポートにあります

組織貢献度の視点から捉える自主性の育成

残業削減を考える時に忘れてはならない
人の“内面”に潜む複雑な欲求
心の問題を経営的にとらえるために・・

今月の経営マネジメントレポートの趣旨とポイント

 今月のマネジメント・レポートは、《総務的発想の新戦略経営シリーズ》第16話として、貢献度の視点から“自主性の育成”を捉えるテーマをご用意しました。

 従業員には“使いやすい”人と“使いにくい”人がいます。

 それは普段なら、“気持ちの差”、“気分の差”かも知れませんが、その差がはっきりと“見える時”があるのです。

 そして、その“はっきりと見えた差”を起点に、人材育成法を考えるなら、単に問題児対策にとどまらず、“何となく使いにくい”と感じる要因が分かって、更に有効な人材活用につながるかも知れません。

 本レポートは“A社長の体験談”ですが、その内容が、御社マネジメントに、少しでもお役に立てば幸いです。

 今回のレポートでは、敢えて“貢献度”という言葉を使っていますが、それは“能力”の話にすると、読んだ時の感覚が“脱線してしまいがち”と想像したからです。

 それは、以下に述べるような混同かも知れません。

“知っていること”と“できること”の混同:混同1

 あまり能力のない人材は、しばしば自分は分かっていたのにできなかったと嘆きます。

 彼らは、分かっていることとできることが“違う”と知らないのです。

 だから能力が身に付かないのでしょう。

 いずれにせよ、“分かる”ということは知識に過ぎません。

 それは、たとえばゴルフ・クラブやテニス・ラケットの“握り方が頭で分かった”という程度のものに過ぎないということです。

 実際に、適切に握れるようになるには“実践練習”が必要で、何度も何度も試行錯誤を繰り返した後、ようやく身に付くのが能力なのです。

 これは従業員サイドの混同ばかりではなく、経営者や管理者が「教えても教えてもできない」と嘆く時にも当てはまるでしょう。

 教えても、その人材に“やらせて、チェックして、修正する”実地指導がなければ、できるようにはならないからです。

失敗や貢献度不足と能力不足の混同:混同2

 2つ目の混同は、うまく行かないことと能力不足の混同です。

 能力が不足するためにうまく行かないことが少ないとは申しません。

 しかし、ほとんどの場合、うまく行かないのは、うまく行く前に途中であきらめるからだと言いたくなる時もあります。

 しかも、悲しいことに、『まだ私は能力が十分ではない。もっと能力を付けてから再チャレンジする』という発想で、明日の能力強化を理由にして今日のチャレンジをあきらめるケースも少ないとは言えないのです。

 『失敗が見えていても、最後まで一生懸命やる』ことが、実は能力を鍛える数少ない方法だし、そうしていれば、もしかしたら、途中で勝機が見えるかも知れないのに・・。

 そんな混同がないよう、能力ではなく、成の匂いがする“貢献度”という言葉を使ってみました。

観察力が増すことがマイナスに働く時:補足

 ただ補足として、混同2の際に、もう一つ“あきらめを誘う”要因があることを指摘しておきます。

 たとえば、従業員が新しい仕事につく時、能天気な人なら、平気で新しい業務に取り組み、そのため、すぐに慣れる一方で、観察力の強い人が、新業務の難しさを感知してしまって恐れるようなことがあるからです。

 観察力が増すと、確かに能力の源も増しますが、怖さや空しさという“逆風”も増します。

 観察力をつける際には、“逆風”に耐える精神力も養わなければ、ストレスに負けてしまうことがあるのです。

 それは観察力がなかった時には、感じなかった逆風です。

 精神力をつける練習が軽視される昨今、能力開発の途上で、怖くなってふさぎこむ人が増えるのは、当然かも知れません。

 ただ、精神力の鍛錬は、非常に難しいテーマですが、その基礎は、掃除や軽い運動など、一見重要ではなさそうな作業を日々、時間を決めて根気よく続けることにあるようです。

 詳しくは、いずれ、ご一緒に考える時がくると思います。

今月のメッセージ

 社長が3週間病気入院して職場を空けた時、従業員の“貢献度”の差が際立ったというケースがあります。

 そして、そこには大きく分けて3つのパターンがありました。

 同時に、従業員の貢献度を育成するには、従来とは少し違う視点の取り組みが必要だという“気付き”も、社長に訪れたのだそうです。

 さて、その“気付き”とは、どのようなものだったのでしょうか。


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