懸命に戦った磐高野球部3年生の皆さんへ

− 磐高野球に携わったものとして誇りを −

 

 忘れてはならないこと。それは、皆さんが幸せになるために野球があったのだということ。野球のために、皆さんがあったのではありません。手段にすぎない野球の結果ごときに、振り回されてはいけません。大切なのは皆さんの生き方です。毎日を何のために生きているのか、その日々の過ごし方そのものが大切なのです。

 皆さんもまた、先人より沢山の感動をもらい、自分もそこで活躍したいと思い、磐高に入学し野球部を選びました。あえて、苦しいこの道を選びました。そのこと自体、大変に価値あることです。磐高野球部の戦績はいわき市民にとって大きな話題であり、多くの人の心を左右します。重大な責任を伴います。敗北することで批判の声が上がろうとも、少しくらい大変でも、それは当然のことじゃないですか。負けないでください。絶対に負けないで下さい。

 磐高野球部に携わり懸命に練習を積み上げる中で、一生懸命の大切さ、チームメートの素晴らしさを知ってしまった皆さんは、このいわきで、日本で、この地球で、生きる目標を見失っている中で助けを求めている人たちのために頑張る義務があります。社会のために、将来の人々のために、そしてこの地球のために頑張る義務があります。
 皆さんはこれから勉強できる、自分の理想に向かって努力できる。それだけで十分に幸せなはずです。今の自分の環境に感謝しながら、自分を大切にしてください。戦績などは、小さなことに思えてくるはずです。
 大切なのは志です。何のために野球に取り組んだのか、です。どうせ、この世に生を受けたのなら思い切り暴れてみたい、甲子園に行きたいと、そう思ったのではありませんか。周囲に感動を与えたいと、そう考えたのではありませんか。
 皆さん自身に起こることはすべて必然です。人は過去に自分の蒔いた種の成果を刈り取っています。今は試練の時です。必ず、この経験は役立ちます。今日もきちんと種蒔きをしておけば、いつか必ず収穫のときがくるのです。だから安心して、また今日から前に進めばいいのです。


 人の幸せなど相対的なものです。自分の心の中にあります。人より戦績が良かったから幸せなんだ、優秀なんだというつまらない枠づけは忘れましょう。たかが短い高校野球の成績ごときで、自分の幸せが左右されてたまるもんですか。あなたの幸せはあなた自身で定義してください。それが主体的に生きるということです。人格的自律ということです。さあ、今日からまた新しい自分です。野球で学んだ「前向きな姿勢」と言う前に、戦績の優劣という既成の枠組みから自由になってください。「昨日までの自分から自由」になってください。

 たとえ上述の言葉が響いても、限りなく不安で孤独かもしれません。ましてや勉強も遅れているので、一人取り残されていく気持ちがするかもしれません。絶対にそんなことはありません。甲子園出場のために頑張ったあなたを見捨てるわけがありません。
 少なくとも、私は最後まであなたの味方です。監督・部長、そしてOB会の先輩たちすべてあなたの味方です。誰もあなたのことをわかってくれなくても、少なくとも、私たちはあなたのことを尊敬します。何が起ころうと、あなたと共にいる人間がいることを忘れないでください。最後の最後まで、あなたを応援します。これからも頑張ってください。


最後まで読んでくださってありがとう。

By 38回卒業 菅野 哲正