西ノ内和紙を制作する「紙のさと」です。

紙のさとのご案内

 紙のさとは昭和48年に設立され、手漉き西ノ内和紙を製造・販売をしております。当工房は紙の名所美濃の国から技術を伝承し、紙漉きの歴史としては100年以上続いており、現在四代目の菊池大輔が代表を務めます。



 紙の原材料としては日本最高級の呼び声高い那須楮の栽培から紙製品や手漉き紙など全て手作りにこだわり、和紙が生み出す温かみのある商品を提供しております。



四代目菊池大輔さんです。

西ノ内和紙について

 常陸国における紙の歴史は古く、8世紀ごろから行われていました。

 江戸時代には、水戸藩の奨励のもと、専売品として重視され、水戸光圀が編さんした「大日本史」の用紙や江戸へ卸されるブランドとなりました。

 那須楮を原料として、久慈川の清流で美濃の国から伝わった「流し漉き」によって作られるその紙質は、目が細かく強靭なものに仕上がります。さらに水にぬれても字が滲まないことや虫害に強く保存に適した西ノ内和紙は江戸時代には商家の帳簿である大福帳をはじめ、日用品の紙材として用いられてきました。

西ノ内和紙は丈夫で水に強いです。

西ノ内和紙と呼ばれる由来

 久慈川の左岸側に西ノ内という地区があり、江戸時代頃に西ノ内地区の農家が冬の間、作る作物がないため、副業として楮を育て紙を作り水戸藩に収めていましたが、納めるときに計量や紙質のチェックなどを行う商家があり、そこに紙を集めて、水戸藩に収めていたそうです。

久慈川です。とても澄んでおり水は清らかに流れていました。

 水戸黄門でおなじみの徳川光圀が西ノ内地区から出る紙ということで「西ノ内紙」と命名し、かつて水戸藩の専売品として江戸に販売し藩の資金調達に役立ちました。そのため、ちょうちん、からかさ、大福帳など江戸の街に西ノ内和紙が広がりました。

西ノ内和紙の特徴

紙が厚くて丈夫

 古くは、徳川光圀による「大日本史」編纂に使用されたり、書物として重宝されてきました。明治35年から大正15年まで丈夫な紙として選挙投票用紙として使われてきました。

丈夫な紙「西ノ内和紙」です。

水に強い

 江戸時代には商家が大福帳として用い、火事の際には井戸へ投げ入れて焼失を防いだといわれています。そして、取り出して乾燥させてまた使っていたといいます。

水に強い西ノ内和紙です。

西ノ内和紙の原材料

那須楮

 奥久慈で作られる那須楮は日本最高級の原料です。

 奥久慈地方は水はけが良くて土地がやせているため、楮を栽培するのに適しています。 また、この辺りは冬になってもめったに雪が降らない北限になり、雪が降って株がやせてしまう前に十分に株に栄養が渡った状態で刈り取ることができます。

 奥久慈地方で採れる那須楮は先般、ユネスコ無形文化遺産に登録された「石州半紙(島根県浜田市)、本美濃紙(岐阜県美濃市)、細川紙(埼玉県小川町・村山村)」これらの和紙制作に使われており日本はもとより世界が認める質の高さを誇っています。

【動画】日本最高級の那須楮を栽培しています

那須と呼ばれる所以

 那須と呼ばれているのは、昔は陸運が発達しておらず、内陸の川を利用して水運で江戸や西日本に楮を運搬していていましたが、そのとき奥久慈地方から栃木方面へ鬼怒川や那珂川を利用して那須地方から出荷していたため、那須楮と呼ばれていました。

清らかな水

 紙づくりに清らかな水はかかせません。不純物が紙に混ざらないように久慈川の支流から水を引いて紙づくりを行います。

久慈川の支流です。清廉な水を用います。

トロロアオイ

 トロロアオイという植物を水に浸しておくことで粘りのある粘液が出ます。これを濾したものを「流し漉き」の際に使うことで紙の厚さが均等にきれいに漉くことができます。

トロロアオイは紙漉きの際に非常に重要な役目を果たします。

西ノ内和紙の制作工程

 西ノ内和の制作工程をご紹介します。(各リンクより該当個所へ移動します。)

1.楮切り

 原料となる楮を根元から切ります。

那須楮の根本です。

2.楮蒸し

 楮を蒸して皮を取り除きやすくします。

3.表皮取り

 表皮取りという台に乗り、表皮を小包丁で削り取っていきます。

【動画】黒皮を丁寧にそぎ落としていきます

4.煮熟・灰汁抜き

 アルカリ性溶液を入れて繊維を柔らかくしていきます。

この窯に表皮をとった楮を入れてアルカリ性溶液を入れて繊維を柔らかくしていきます。

5.紙しぼり

 繊維についているゴミをきれいに取り除きます。この作業は非常に根気のいる作業で一番大変な作業ですが同時に一番重要な作業です。

【動画】紙を漉く前の重要な工程の紙しぼりをしていきます

6.叩解(こうかい)

 スタンパー、ビーターを使って繊維を細かくしていきます。

 スタンパーは餅つきのように上下に機械が圧力をかけます。ビーターは水と歯車で繊維を整えます。

ビーターで大まかに繊維を細かくします。

スタンパーでより繊維を細かくします。

スタンパー

ビーター

7.紙漉き・脱水

 水を貯めた舟に桁と簾を用意し、那須楮の繊維とトロロアオイを入れて薄く厚さを均等に漉いていきます。

紙漉きための舟です。

舟(ふね)

舟の中に桁を入れます。紙を作る型になります。

桁の上に簾を置き、紙を漉きます。

桁(けた)

簾(す)

紙漉きの場面です。

 木材と木材の間に漉いた紙を挟んでジャッキで固定し上下から圧力をかけて水を切っていきます。

水を抜くための木押しです。

8.乾燥・仕上げ

 水切りをした紙をステンレス製の乾燥機もしくは干板で乾かして出来上がりです。

 こちらの乾燥機は下に水が入っており、その水を沸かして鉄板が暖まるため、濡れた紙をそのまま張ることができます。干板には直接紙を張り天日干しをして乾燥させます。

紙を乾かす乾燥機です。

干板で天日干しします。

乾燥機

干板

紙のさと売れ筋ベスト3

 お客様からよくご購入いただく人気商品です。

  1. ストラップ

    ストラップは人気No.1です。

    お土産に買っていかれる方が多いです。


  2. はしおき

    おしゃれなはしおきになります。

    カラフルな染色が食事に彩りを添えてくれます。


  3. 小物入れ

    小物入れはちょっとしたものが入るので便利です。

    ちょっとしたものを入れるのにかなり重宝します。


 このほかにも名刺入れやお財布など身近に使えるものがすべて紙で作られています。

紙のさと店舗概要

紙のさとの看板です。

項目内容
店舗名紙のさと
代表者菊池大輔
所在地茨城県常陸大宮市舟生90
連絡先TEL:0295-57-2252
FAX:0295-57-6885
メールアドレスkaminosato@spice.ocn.ne.jp
URLhttp://www14.ocn.ne.jp/~kamiya3/

アクセスマップ

紙のさと:茨城県常陸大宮市舟生90

インテリアにぴったりのかわいらしい雑貨もあります。

 インテリアとしてかわいらしい雑貨もあります。

サブコンテンツ

取材編集者からの後記

 西ノ内和紙は丈夫で水に強いという特徴から昔から優れた紙製品として使われてきました。



 紙のさとさんでは、文字を書くための紙としてあるのもそうですが、近年では、壁紙やインテリアとして取り入れられたり、雑貨として作られたりと紙の使い道を広げることを考えながら、日々紙の制作に取り組まれております。



 また、那須楮を使った紙すきの技術は日本、そして、世界に称賛される技術であると考えられます。



 お客様からの難しい要望が自分たちの技術の進歩につながるとおっしゃる四代目菊池大輔さん。お客様が満足されるものに少しでも近づけたいその一心で紙漉きされるお姿にこれからもその技術を届けてほしいと願うばかりでした。

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