「農林漁業者と商工業者等が通常の商取引関係を超えて協力し、お互いの強みを活かして売れる新商品・新サービスの開発、生産等を行い、需要の開拓を行うこと」です。すなわち、これまで農林漁業者だけ、商工業等を営む中小企業者だけでは開発・生産することが難しかった商品・サービスを両者が協力し合うことで創り出し、市場で販売していくことで、売上げや利益の増加を目指そうとする取り組みのことです。
農商工等連携促進法
平成20年の7月21日に「農商工等連携促進法」が施行されました。この法律は、「農商工連携」に取り組もうとする方々の事業計画を国が認定し、認定された計画に基づいて事業を実施する方々を各種支援策でサポートするものです。計画を申請するためには、農林漁業者、商工業等を営む中小企業者で、両者が連名で申請しなければなりません。
国の認定基準について
農林漁業者と中小企業者が「有機的連携」すること
「有機的連携」とは、通常のビジネス上の取引関係を超えて協力することです。単なるビジネスベースでの原材料の売買、業務の受委託や資産の賃貸借などは認定の対象とはなりません。この「有機的連携」は、キーワード(3)の「新商品・新サービスの開発等」を実現するための協力関係です。
お互いの「経営資源」を有効に活用すること
「経営資源」とは、資産や技術・技能、ノウハウ、知的財産で、販路や人脈なども含まれ通常の営業活動に必要なものはほぼ認められます。ただし、“お金”は経営資源として認められていません。連携の相手方が持っていないこれら経営資源、いわゆる自分の“経営の強み”をお互いに活用することが必要です。この「経営資源」も、キーワード(3)の「新商品・新サービスの開発等」を実現するために活用する経営資源です。
「新商品・新サービスの開発等」を行う事業であること
新商品・新サービスとは、計画を申請する農林漁業者・中小企業者にとって、これまでに開発、生産・提供したことのないものであれば認められ、新たな事業展開にチャレンジする方々の創意工夫を活かした幅広い事業が対象となります。ただし、重要なのは、“売れる見込みがあること”です。開発しようとする商品の優位性が明確でない、顧客ニーズの把握が十分でない計画は、認定の対象になりません。
農林漁業者と中小企業者の「経営の改善」が実現すること
この事業を実施することにより、農林漁業者と中小企業者が“WIN―WIN”の関係を築き、共に経営が改善する計画であることが必要です。したがって定量的な認定基準として、計画期間が5年の場合“5年間で売上高と付加価値額の5%以上の増加”が必要とされています(計画期間は5年以内です)。
国の認定を受けるメリット
認定を受けた事業者に対しては、専門家によるアドバイスや販路開拓のサポートなどのほか、試作品開発や販路開拓のための市場調査等に対する補助(2/3補助)、設備投資減税(30%の特別償却又は7%の税額控除)、中小企業信用保証の特例、政府系金融機関の融資等の支援策が用意されております。
相談窓口について
農商工連携にチャレンジする場合は、全国10カ所にある中小企業基盤整備機構の各地域本部などが相談窓口になります。専門家が窓口相談や計画作成のアドバイス、計画認定後のフォローアップまで対応してくれます。また、計画の申請先となる経済産業局、農政局でも相談を受け付けています。
中小機構各地域本部について
全国10カ所の中小機構各地域本部では、ビジネスに精通したプロジェクトマネージャー等が、新商品・新サービスの開発等の実施にあたっての事業計画の策定、商品開発、販路開拓等のアドバイス・ノウハウ提供などを行い、事業の構想段階から法認定後の事業化まで一貫した支援を行っています。