雇用管理と補助金・補助事業 菅野社労士の講演【第4回い印経営塾】

 7月28日(火)に開催された第4回い印経営塾は社会保険労務士の菅野哲正先生を迎え、農業経営者の為の雇用管理と補助金・補助事業について講演していただきました。

 ページ上部では社会保険労務士の菅野先生の講演動画、ページ下部では講演内容をまとめたレポートとしてご報告致します。

菅野社会保険労務士による講演動画

 以下の第4回い印経営塾 菅野社会保険労務士の講演動画はYoutubeの限定公開にしています。Youtubeで検索しても見ることは出来ず、動画の視聴はこのページのみになります。

農業者の為の雇用管理と補助金・補助事業の講演1

農業者の為の雇用管理と補助金・補助事業の講演2

農業者の為の雇用管理と補助金・補助事業の講演3

農業経営者の為の雇用管理と補助金・補助事業レポート

 今回の社会保険労務士の菅野先生による『農業者の為の雇用管理と補助金・補助事業』の講演を以下にまとめました。

農業に対する労働基準法の適用

原則 ~農業の労働基準法で適用とならないもの~

 労働者を雇い入れて農業を営む場合は、個人経営であれ法人経営であれ、労働基準法の適用を受けることになりますが、農業は、その性質上天候等の自然条件に左右されることから、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用除外となっています(労働基準法第41条第1号)。なお、それ以外の規定については、適用除外とされていません。

注意すべきは外国人技能実習生の雇用管理

 外国人技能実習生の雇用管理については、気をつけなければいけません。

 外国人技能実習生の場合、時間外労働の割増率を守らなければなりません。技能実習生はただ単に労働力としてではなく、あくまで農業の技能を学んでいるという認識のためです。

 最近では、インターネットの普及に伴い、外国人技能実習生自ら調べて直接労働局に相談しに行ってしまう件が多々あるようです。そうならない為にも、経営者であれば労働基準法の押さえておかなければならないポイントは勉強しなければなりません。

労務リスクの拡大に伴う労働問題

 ここ数年、従業員個人と会社のトラブルという個別の労働問題を中心とする労使紛争が急増しています。小さな問題だと会社が軽視していると経営を揺るがす事態にもなりかねないのが、最近の労働問題の特徴です。

 それだけ労務リスクが拡大しているのですが、どこに労務リスクが潜んでいるのか会社側がよくわかっていないのが実情です。

 労務リスクの把握を会社として行う必要があり、対策を万全にして、いらぬところにエネルギーを費やすようになさらないことです。

経営資源で大化けするのは人

 経営資源の4要素、いわゆる、人、物、資金、情報とありますが、その中で大化けする可能性があり、また損失を及ぼす可能性があるのが人です。物はその物以上の能力は発揮しえませんし、資金も情報も然りで、物、資金、情報にはいずれも人が介在します、人が必ずそこにはいるのです。従って人のマネジメントを軽くみていると、全てに悪影響が及んでしまう可能性があります。

 人を大事にする経営とは耳障りがいいですが、経営者は従業員を戦力として育てていかねばなりません。その痛みは経営者でないと分かりませんが、法で要求される様々な要求事項は最低の水準なので、それは順守しておく必要があり、また証拠としての労働帳簿は完備させておく必要があります。人のマネジメントを万全にして、組織が発展することをお祈りしています。

農業に関する施策紹介

地域資源活用プログラム

 地域資源を活用した新商品・新サービスの開発・事業化を行う中小企業が、事業計画を作成し、国の認定を受けると、国の補助金や政府系金融機関による低利融資など、さまざまな支援を受けることができます。

農商工連携

 「農林漁業者と商工業者等が通常の商取引関係を超えて協力し、お互いの強みを活かして売れる新商品・新サービスの開発、生産等を行い、需要の開拓を行うこと」です。認定を受けた事業者に対しては、専門家によるアドバイスや販路開拓のサポートなどのほか、試作品開発や販路開拓のための市場調査等に対する補助(2/3補助)、設備投資減税(30%の特別償却又は7%の税額控除)、中小企業信用保証の特例、政府系金融機関の融資等の支援策が用意されております。

六次産業化

 農林水産物の生産(1次産業)、加工(2次産業)、販売・流通(3次産業)を一体化して付加価値を付けることにより農林水産業経営の発展を目指すものです。国から設備を整える為の補助金が準備されていたり、専門的なアドバイスが受けられます。

講師プロフィール

菅野 哲正(社会保険労務士)

菅野労務FP事務所 所長
株式会社グローリレイション 代表取締役

  • 三井生命保険会社で12年勤続後、独立を志向し退社。
  • 03年1月より本格的に独立開業し今に至る。
  • 茨城県社会保険労務士会理事

 企業の人に関する難しい相談をこなし、営業リーダーの経験も活かしながら、営業戦略の策定、人事労務の整備、業務改善等のコンサルをこなす珍しい社労士と言われている。

【第5回経営塾開催予定】

  • 日時 平成27年9月26日(土)16時~
  • 場所 い印大会議室
  • 講師 白菊酒造株式会社 廣瀬 慶之助氏
  • 講演タイトル 「酒造りの苦心と魅力、そして七転び八起きの販路開拓」
  • 参加費 1,000円

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