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署名と押印について

 契約の締結や解約といった重要な場面では、のちに紛争になった場合に備えて契約書が作成されます。
 そして、契約書の作成に署名や押印はつきものです。
 ここでは署名や印鑑に関する基本的知識についてお話したいと思います。

1、署名と記名の違い

 署名というのは、自分の名前を自分で書くこと、つまりサインすることです。
 欧米ではこのサインがとても重視されますが、日本でサインを使うのはせいぜいクレジットカードの支払いなどの場合だけで、通常の文書ではほとんど記名押印が用いられています。

 記名というのは、署名以外の方法で自分の名前を記載することです。
 たとえば、ゴム印を押したり、ワープロで打ったりしたものをいいます。
 夫や妻が代わりに書いたものは、手書きではありますが自分で書いたものではないので、これも記名になります。

 署名と記名は、自分の名前を記載するという点では同じですが、署名の方が格段に強い証明力を持ちます。
 なぜなら、記名の場合、ゴム印やワープロなどを使って他人でも簡単に文書を作ることができてしまいますが、署名の場合は筆跡鑑定をすれば容易に文書作成者を特定することができるため、文書の信用性がとても高いからです。

2、押印の意義

 押印、つまりハンコを押すことには2つの意義があります。

 1つは、記名のあとに押印した場合、つまり記名押印のときにもつ意義です。
 前述のとおり、署名と記名とではその証明力に格段の差がありますが、記名に押印がある場合は法律で署名と同等の効力が認められているのです。

 もう一つの意義は、押印することによって署名者の確定的・最終的な意思を明確にするということです。
 本来ならば、署名だけでも高い証明力があるとされるはずですが、ハンコ社会の日本では、署名だけでハンコのない文書は正式な文書ではないと考えられてしまいがちです。

 そこで、署名をし、さらに最終的な意思確認として押印することが慣習化しているのです。

3、署名押印と記名押印の違い

 契約書をはじめとした法律上重要な文書には、ほとんどの場合、署名押印がなされます。
 法的には記名押印でも十分なのに、わざわざ署名押印する意義はどこにあるのでしょうか。

 それは、前述のように、署名押印のある文書の方が記名押印よりも信用性が高いとされているからです。
 たとえば、ワープロの「菅野哲正」という記名に三文判の「菅野」では、誰でも簡単に作れてしまいます。

 これに対し、署名押印であれば筆跡鑑定により文書作成者を特定することができますから、文書の信用性も高くなります。
 こうした事情から、重要な契約の際には署名押印が用いられているのです。

4、栂印と書き判

 栂印とは、指先に朱肉などをつけて押し、指紋を残すことです。
 書き判とは、手書きで自分の姓や名、頭文字などを書き、その字のまわりを丸く囲んでハンコのように書くことです。
 よく印鑑がないときに、代わりに栂印を押したり書き判をすることがありますが、これは印鑑と同じ法的効果があるのでしょうか?

 この点、栂印や書き判は正確な意味では印鑑とはいえませんから、押印の一つめの意義、つまり、記名のあとに押印することにより署名と同じ効力をもつという効力は認められません。

 しかし、栂印や書き判でも、確定的・最終的な意思表示であることを示す押印の意義はあります。

 つまり、栂印や書き判であろうと、ハンコさえあれば文書作成者は「この文書は未完成だ」との弁解ができなくなるのです。

 このように、印鑑がなくても紙とボールペンさえあればいつでも有効な法律文書を作成できることを覚えておくと、いざというとき便利でしょう。

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