鹿吉さつまいものご紹介

 鹿吉さつまいもは、焼芋、壺焼などで、食べていただく方に本当の美味しさを届けるために手間暇を惜しまず、次の点を重点的に従事しています。

鉾田の甘藷農園蔵元の鹿吉さつまいもは甘くて最高

  • 土壌に完全な栄養を行き渡らせるための弛まぬ管理
  • 一つ一つ手を抜かずに心を込めて植え付ける
  • 収穫までの期間、病気や虫でやられないように監視
  • 収穫は一つ一つに真心をこめて掘り起こす
  • 掘ったさつまいもはすぐに洗浄し保管可能な状態にする
  • 倉庫保管する期間で熟成させるための温度・湿度の厳格な管理
  • 焼き上げるときの均一な熱の行き渡りに配慮する

こうしてできた焼き芋や壺焼をみなさまのお手元に届けています。

 様々な配慮や努力は惜しまずに行っておりますが、それは食べてみなければ分からない世界だといつも申し上げております。食べて身体で感じ取ってほしい当社のサツマイモです。

生産過程での工夫や腐心事項

 サツマイモを商品に仕立てるまでの間で、最も辛い作業は「植え付け」です。一本一本手を抜かずに植え付けをしていく作業は経験したものにしか分からないと思います。5月から順次植え付けを始めてまいりますが、その間は他のことができなくなります。

 その辛い植え付けの中で当社が拘るのは、サツマイモに対して「今年もしっかり育ってください」、いつものお得意様に向かって、「今年も収穫をお待ちください」と念を込めながら植え付けを進めます。そうした気持ちを込めることで、大自然の法則の中ですくすくと育っていくのでは無いかと感じており、そうした配慮は欠かしません。

 また土壌の質の確保には十分に配慮しております。化学肥料を使わずに有機で土壌に栄養を行き渡らせます。有機は虫が舞ったり、なかなか大変なところもあるのですが、やはり大自然の理に則るために、有機は欠かせません。そしてそこから出てくる手間も一業務であると全従業員が労を惜しまずに行っております。

鹿吉は、甘藷農場は全部で30町歩あり手入れが大変ですがきちんと管理しています

 収穫も重労働になりますが、ここでも心を込めて収穫します。「今年もありがとう。そしてお待たせしました。」と。

 収穫した芋は貯蔵庫で厳重保管しますが、温度と湿度の管理は重要なので、日常での監視を怠りなく行っております。そして澱粉が糖化する頃を見計らって、商品として供することになります。この見極めは我々プロでも難しいところがありますが、見極めのポイントを確実にし、美味しい段階で商品として提供いたします。

 様々な工夫や配慮を継続しており、年中気が抜けませんが、喜んでいただけるお客様の顔や大事なサツマイモを思えば、苦労とも感じずに商品化までをこなしています。

死ぬときは畑の上で立ったまま果てたい

農業人たるもの畑の中で自然に生を終えたい

 昔、近所で畑の中で農作業をしながら天に戻る姿というのは珍しくなかったのだと思います。実際に目の当たりにしたこともありますし、そうした話をずっと肉親から聞かされてきました。本気で農業に従事する人間にとって、畑の中で自然に生を終えたいと考えることは過酷でもなんでもなく当たり前のことなのだろうと思います。

 自分たちを活かしてくれているサツマイモの恵みの中で天命を全うしたい、そう考えられる自分は幸せなのかもしれません。

日本の未来の農業への危機意識

 このままでは日本の農業は間違いなくダメになります。農業が発展する方向性が見えないのです。若者が夢を携えて農業に従事できる、そんな世の中が遠くなって久しいのだと思います。

 日本国内の食料自給率については、カロリーベースで40%、生産額ベースで65%という統計があるようですが、カロリーの数値から想像しますと、まだまだ日本の農業が発展して雇用に貢献できる余地があるのだと感じます。

 しかし農業へ従事しようとした時に、様々な壁のため、若者が夢を持って選択できないのだと思います。農業は今では装置産業です。機械やハウス、貯蔵庫など、大きな投資を余儀なくされます。それは本気で取り組もうと大規模化すればするほどに痛感することです。

 そして労力が半端無く辛く、自然と常に向き合っていなければならない環境は、今日は体調が悪いから手を抜こうとかいうことを許してはくれません。常に真剣に自然と向き合っていなければならないのです。

鉾田の甘藷農園蔵元 (株)鹿吉代表取締役・吉田喜一

 食は命を紡ぐための根源であり、何がなくても食べなければ生物は生きていけません。生の根源たる食の産業、特に第一次産業と言われ、スタートである農業を発展、スムーズな維持をさせなければ、国の将来も危ういのではないかと、仲間では語っております。

 私どもは農産物が豊富な茨城県の中でも大産地とされる鉾田で農業を営んでおりますが、鉾田にあっては次に述べる弱点などの克服が必要であり、装置産業を支えるために、シェア構想やオール茨城構想などが必要だと捉え、微力ではありますが動きを展開しつつあります。

大農産地鉾田地方の課題

 端的に述べますと、農業を支えるための「物流と加工が弱い」ということです。加工が地元で直接出来ないために、遠くの工場に出さなくてはいけず、大きな物流会社も存在しないので、やや遠方の物流会社に依頼せざるをえず、いわゆるコスト高になってしまうわけです。最終消費者の段階での値段は上げられませんので、そのコストを吸収するのが第一次産業たる農業になってしまうということです。

 言葉は悪いかも知れませんが、他エリア、他産業にいいようにやられていると感じています。

 最終消費者の手元に良い産物を届けるため、商品化すために、農業だけではどうしても手薄になります。加工や物流機能が充実して始めて良い商品として成り立つのです。

壺屋のためのセラミック壺

 鉾田にあっては、加工と物流機能を主日させるために、大工場の誘致や運送会社の起業などを望んでおりますが、これは私どもの手に負える事業ではありません。この記事を見て賛同していただける方で、良いアイディアやネットワークをお持ちの方は、ぜひともアドバイスしていただいたり、良き御縁をご紹介いただけますよう切にお願い致します。また立法や行政に携わる方にもお知恵を出していただけますよう、強くお願いするものです。

 加えて女性の接客力や商品開発力、そしてマーケティング力なども期待が大きい箇所であり、そうした力を結集させて大きな雇用とまちの活性につなげていきたいと夢を見ております。

装置産業である農業のシェア構想

 大規模農業を展開するためには、重機が必要となります。建設機械の重機はリース市場が成熟し、必要な分だけ調達するシステムが確立しております。しかしながら農業も重機を扱うのですが、リース市場は脆弱というよりは、無きに等しい状態です。

 従いまして、一つン千万という重機を農業従事者が準備せざるを得ず、その資金負担は多大なものがあります。年に1ヶ月にも満たない稼働をカバーするのにそのような大きな資金負担があるのです。品目によっては季節で全くかぶらないものもありますので、そうした必要な時期に必要な重機をシェアできるシステムも必要であると痛感しています。

 農業重機は建設重機と比較しても、決して安くはなく、その実際の稼働日数を考えると、かなり高コストを強いられている現状があります。

農業の資金負担は重く辛い

 重機はひとつの例ですが、農業に本気で従事しようと志した時に、資金の壁、リスクの大きさに唖然とすることになります。必要なコストはやむを得ないとして、それを均等に平準化するための世の中全体のシステマティックな構築というものが要求されていると考えます。

 今後若者が農業に従事しやすいように、解決していきたい大きな課題です。

農業・工業・商業のオール茨城でスクラム

 商売を成立させるために、農業に加えて、加工(工業)や物流、そして販売する店舗が必要なことは誰が考えても分かることです。農業を発展させるポイントとして、この全ての連携を強化していく必要性を感じています。本当のオール茨城を進めることが重要だろうと動きを進めています。

農業・工業・商業のオール茨城でスクラム

 例えば農産物を綺麗に加工し、それを笠間焼の食器に盛り込む、それが茨城空港のお店で出されていて、県外の方はもとより、海外の方にも食してもらい、その良い物をお土産として購入いただく、そんな魅力的な密着を進めていく必要性を感じているのは当社だけではないと思います。

 そうしたオール茨城構想を実現するためには、様々な方面の方の力が必要です。一緒になって夢を見、本物を目指せる熱い方との出会いを求めてやみません。

農業を志す方へのアドバイス

 本気で農業を志すならアドバイスは惜しみません。弊社もまだまだ微力であり、もっと改良の余地があります。

鉾田の甘藷農園蔵元 (株)鹿吉代表取締役・吉田行宏

 しかしこれまで体験してきたことや、今の構想について語り合いを持つことはやぶさかではありません。本気で農業を発展させたい志ある人間同士であれば、ぜひともタッグを組んで邁進したいと考えております。

 自分が戸惑ってしまったこと、回り道をしてしまったこと、今にして思えば、もっとスムーズに進むための道は多々あったのだと感じます。そうした失敗ノウハウ等も含めて、農業で成功するためのポイントを実際に汗を流した先輩として経営的観点からもアドバイスさせていただきます。

 美味しい農産物をお届けするという使命に加えて、エネルギッシュな農業経営者との語らいをお待ちしています。

(株)鹿吉の会社概要

鹿吉の会社銀看板

項目内容
会社名株式会社 鹿吉
概要農業 : 甘藷農園 蔵元
さつまいも生産栽培 卸売 製造(焼き芋)
所在地茨城県鉾田市鹿田830-28
休業日火曜日・土・日・祝祭日
営業時間10:00~17:00
URLhttp://shikakichi.jp/
お問い合わせE-mail : info@shikakichi.jp
会長吉田一男
常東農興協同組合 理事長 (国際外国人派遣事業)
代表取締役吉田喜一
専務吉田行宏

鉾田の甘藷農園蔵元 (株)鹿吉スタッフの小沼氏と浅野氏
(一部の取材協力いただいた小沼さんと浅野さん)

アクセスマップ

茨城県鉾田市鹿田830-28

サブコンテンツ

取材編集者からの後記

農業の活性と鉾田の隆盛を目指す

 今回取材にあたり、「特にPRしたいことはありますか?」と問いますと、「商品などについては必要な広報をしているので、農業や鉾田地方の課題や今後の取組を掲載して欲しい」ということでした。従いまして、強く語られていた内容をそのまま文字起こししています。様々な原動力はどうもストレスとの戦いのようでした。農業の大変さが話しを通じて伝わってまいり、農業や鉾田、茨城県を活性させたいという願いがにじみ出ている様子をうかがい知ることができました。様々な仕掛けを考え動き、模索が続いているようですが、きっとこの社長は本当に畑で朽ち果てるのだろうと感じました。ぜひとも夢を形にするため、今後も戦いを続けて欲しいと念願します。

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