「小室かな料紙工房」は三代目小室久により平安時代からの伝統を守るべくかな料紙の制作に取り組みます。

平安時代に生まれた文字の美しさを際立たせるかな料紙

 書道のかな文字を書くための用紙をかな料紙といいます。


 平安時代に生まれた優美なかな文字を「かな料紙」に書いてみるとそれは本当に文字の美しさがより引き立ちます。美しさがいっそう引き立つのは美しいかな文字もさることながら、装飾された和紙が美しさを引き立たせます。

小室かな料紙工房の4つの伝統技法

 平安時代から続く伝統的な技法として大きく4つに分かれます。小室かな料紙工房では当時のより古典に近い料紙を作ることを目指しております。

染紙

 単一色でシンプルですが、和紙の良さがよく分かります。たとえば、古色を出すために楢の木の皮を煮出したもの、黄色に染めるために黄蘗を用いたもの、赤色に染めるために蘇芳(すおう)を用いたものなどがあります。

和紙の良さを出す古風な昔ながらの色合いが特徴です。

唐紙

 木版で装飾する和紙です。柄の木版が出来の良さを左右します。一つひとつ丹念に版木を作り、和紙に摺っていきます。

木版の柄を和紙に摺って紋様を出してものです。

箔装飾紙

 古風な和紙にきらびやかな金銀の切箔や砂子を散りばめてより一層美しさが増し、平安時代の華やかさを表すような料紙です。

金銀箔を散りばめ美しい料紙になります。

継紙

 いくつかの紙を様々な形に切ったり破ったりして、再び張り合わせます。

いくつかの和紙を切り取り継ぎ合わせをしていきます。

その他の技法

蝋箋(ろうせん)

 唐紙の下地を堅いイノシシの牙でこすることによってつやを出すものです。木版の上に乗せて円を描くように、丁寧に擦っていきます。時間と手間のかかる作業です。

イノシシの牙です。代々受け継がれている貴重な道具です。

イノシシの牙で丁寧にこすることによってつやが出ます。

かな料紙の制作工程

 技法によってそれぞれ制作工程は多少異なってきますが、ここでは、代表例として染紙の制作工程について触れます。

染紙の制作工程です。

漬染

 天然の植物からとれる染液に和紙を漬けていきます。

どうさ引き

 文字を書いた時の滲み止めや定着させるために、ドウサ液を刷毛等で引いていきます。

のり引き

 文字を書いた時、墨がきれいに乗るようにするために行います。

ロールかけ

 和紙を平らに伸ばすためにローラーを通して表面をきれいに仕上げます。

三代目の小室久さんはこの30年で方でおじい様から一人前になるには30年かかると言われた年数になりさらなるかな料紙の美しさを求め探求しています。

小室かな料紙工房の材料のこだわり

 和紙は国産の雁皮(がんぴ)を原料としています。雁皮という木の皮の繊維で漉かれた紙を使っています。雁皮は繊維のきめが細かく、比較的光沢があるという特徴があります。雁皮はその特徴のため、細かい文字を書くのに非常にきれいに書けます。

和紙は国産の雁皮(がんぴ)を原料としています。

 染料は植物由来のものを使っています。

 古色を出すために、楢(ナラ)の木の皮を釜で3日間煮詰めて茶色を出していきます。他にも、黄色に染めるには、黄蘗(きはだ)、赤に染めるには、蘇芳(すおう)を用いて彩りを加えます。

楢の木の皮を3日間煮込みます。

古色を出すために、楢(ナラ)の木の皮を釜で3日間煮詰めて茶色を出していきます。

黄色に染めるには、黄蘗(きはだ)を使っています。

赤に染めるには、蘇芳(すおう)を使っています。

箔装飾紙の制作風景の動画

小室かな料紙工房の売れ筋商品紹介

 小室かな料紙工房の4つの伝統技法を上記で紹介しましたが、ここでは小室かな料紙工房で特に人気がある売れ筋商品をご紹介します。

かな料紙の売れ筋人気ベスト3

  1. 唐紙

    小室かな料紙工房の唐紙は売れ筋ナンバーワンです。

    何十種類もの丹念に彫られた木版により模様を描いています。


  2. 染紙

    小室かな料紙工房の染紙は落ち着いた和紙として利用されています。

    昔ながら方法で植物の天然色を生かして染めています。


  3. 箔装飾紙

    小室かな料紙工房の箔装飾紙は他の2つよりもまた違った味を出します。

    金銀箔を加えることで華やかさがぐっと増し、唐紙や染紙とは違った表現ができます。


小室かな料紙工房の概要

項目内容
店舗名小室かな料紙工房
代表者小室 久
所在地茨城県常陸太田市大菅町211-2
連絡先TEL:0294-82-2451
FAX:0294-82-2461
メールアドレスkomuro@kanaryoshi.com
URLhttp://kanaryoshi.com/
営業時間9:00~18:00
定休日日曜日

アクセスマップ

小室かな料紙工房:茨城県常陸太田市大菅町211-2

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取材編集者からの後記

 創業は小室久さんのおじい様、小室 徳氏が古筆(平安時代から鎌倉時代にかけて書かれた和様書道のすぐれた筆跡)の複製事業を仕事としてから、染色職人、木版画職人、箔加工職人からそれぞれ指導を受けて技術を学び、大学教授や書道家の先生方からアドバイスを得てすべての工程を一貫して行うスタイルを確立させたのが小室かな料紙工房の始まりでした。その後、お父様の義久氏、久さんに受け継がれています。


 久さんはこうおっしゃいます。「料紙は使ってもらって生きるもの。より古典に近い良いものを作っていきたい。」


 かな料紙という美しい和紙によって日本の文化であるかな文字を書き綴ることは日本人として残していきたい伝統です。



小室久はインテリアとして飾ざれるものを作っており、ガラスのペーパーウェイト(文鎮・重し)など新たな試みに挑戦されています。

久氏は和紙としてのかな料紙だけでなく、新たな試みとして飾り扇なども作っています。

 久さんは和紙としてのかな料紙だけでなく、新たな試みに挑戦されています。現在、インテリアとして飾ざれるものを作っており、ガラスのペーパーウェイト(文鎮・重し)、飾り扇、屏風などの新しいかな料紙の活用方法の探求にまい進されていらっしゃいます。伝統的な技法、材料を用いて平安時代からのかな料紙の美を守り、かな料紙の素晴らしさを私たちに教えてくれています。伝統に加え、オリジナルな作品、新たな伝統のかな料紙を作り続けていってほしいと願うばかりです。

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