涸沼と大和しじみ
海から約8キロの距離にある涸沼は、満潮時には涸沼川を遡って海水が流れ込む、全国でもめずらしい汽水湖です。大和しじみは日本でも有数の漁獲量を誇ります。一般的に流通している国産しじみは「大和しじみ」という種類ですが、養分が豊富な涸沼および涸沼川で採れるしじみは厚みのあるのが特長で、大涸沼漁業協同組合が自主的に定めた管理基準を満たした涸沼産のしじみを「ひぬまやまとしじみ」のブランド名で販売しています。
6月から8月と12月から2月が特に美味しい季節
一年を通じて漁獲されるが、特に6月から8月の産卵時期に身の肥大した「土用しじみ」と、寒さで味の締まる12月から2月にかけての「寒しじみ」が年に2度の旬と言われています。
しじみの効能
しじみには肝機能を向上させるので「お酒を飲んだ翌日にしじみ汁を飲むと良い」と昔から言われています。しじみには「ビタミン」「カルシウム」「タウリン」「鉄分」などの栄養素がたっぷり含まれています。これら栄養素の働きにより弱った肝機能を正常に戻してくれます。 肝機能の向上が期待できるオルニチンも多く含み、この成分は冷凍することで約8倍にも増えることもあり、冷凍保存にも適しています。
涸沼の漁獲量と大涸沼漁業協同組合の活動
涸沼は、全国の湖沼別順位で第4位(1999年)の漁獲量を誇っていますが、水質の悪化や護岸工事や密漁などの影響により、年々減少しています。このため、大涸沼漁協が結束し、漁獲量上限の自主管理(守る)、稚貝を育成し放流する(育てる)事業を平成13年から開始しました。 稚貝とは幼生期の浮遊生活を終え、砂や岩に定着するようになって間もない貝のことをいいます。
稚貝の育成でもっとも重要なことは『水質管理』
稚貝の育成でもっとも苦労することは水質管理です。大涸沼漁業協同組合では毎日、朝・昼・晩と水質をチェックしています。涸沼へ放流された稚貝は植物性プランクトンをエサにして2年ほどで食べられる大きさに成長します。涸沼のシジミは、2011年の東日本大震災時の一時漁の見合わせから漁獲量が減少しましたが、昨年、震災前の半分程度に徐々に回復しました。
「大涸沼漁業で育てる稚貝」
ひぬまやまとしじみの漁の方法
【大涸沼漁協が指定する隙間12mmの鋤簾】
機械を使わず、全国でもめずらしい「手掻き操業」で捕獲することにより、キズは最小限に抑えられ、鮮度も長持ち、良質なしじみを産出しています。
漁が出来るのは240名の選ばれた漁師だけです。漁師の人数を制限することで資源保護に努めています。
また、しじみを掘るカゴは乱獲を防ぐために、大涸沼漁協で指定されているものを必ず使うようルールとして決められています。
しじみ漁のは基本的に午前中に行われます。時間は夏は午前7時から11時・冬は午前8時から12時までと決められています。
大涸沼漁業協同組合 櫻井 宏昌組合長のインタビュー
「大涸沼漁業組合は、昭和27年に涸沼周辺にあった5~6つの漁協が合併して誕生しました。以前は、しじみは人間が食べるほかに主に魚を釣るエサや肥料などに使われていました。震災の影響もあり、一時は取れる量も少なくなっていましたが、稚貝の放流や環境保全の活動により、徐々に取れる量も増えてきています。」 「最近では地元の高校生・中学生が環境保全の一環で涸沼周辺のゴミ拾いをしていただいています。地元の方の涸沼を大切にする気持ちが若い世代にも浸透していることは大変漁協としても嬉しく感じています。環境保全はもちろんのこと、稚貝の放流など『育てる漁』を今後も続けていきたいと思います。」
大涸沼漁業協同組合の概要
項目 | 内容 |
---|---|
組合名 | 大涸沼漁業協同組合 |
組合長 | 櫻井 宏昌 |
所在地 | 〒310-8555 茨城県東茨城郡茨城町下石崎1652 |
連絡先 | TEL:029-293-7347 FAX: 029-293-7349 |
組合員数 | 約400名 |