美味しい常陸牛の肥育に全力投球する北茨城市の華川牧場

牛が好きだからこそできる肥育牧場

常陸牛・花園牛が好きだからこそできる肥育牧場

 牛を育て出荷する肥育牧場においては、やはり牛、生き物が好きである、自然が好きだからこそできる仕事です。生後30ヶ月頃で出荷し巣立っていきますが、その間、餌や水を与え、体調に気配り目配せし、家族の成長のように見守っていきます。プロとしての目利きは体調の良し悪しの見立てです。些細な変調を逃さずに、病気の予防などの健康管理を万全にしているからこそ、皆さまのお手元に美味しいお肉を届けることができます。

牛の肥育スケジュール

 牛の標準的な肥育スケジュールは以下の通りです。

  • 生後10ヶ月程度の仔牛を仕入れ
  • そこから3~4ヶ月程度エサをたくさん食べるように手なずける
      (ここが重要ポイントです)
  • 別の管理棟に移し出荷までの期間、順調に育てる
      (餌や水を与えながら体調異変がないかの管理が続きます)
  • 生後30ヶ月程度で出荷する

牛の食べる量と水の摂取量

 牛はとにかく食べます。初期は牧草、少し大きくなってからは穀物の配合飼料などを購入して与えますが、餌代はたいへんなコスト負担です。具体的な金額を記載するのは気がひけるので遠慮いたしますが、とにかく大きな経費がかかります。

 1日食べ続けている状況なので、その食べる量は初期で4~5Kgくらい、大きくなると穀物を10Kgくらいの摂取量になるのではないでしょうか。3町歩の畑でとうもろこしなどの栽培をしていますが、目一杯草があっても、10頭を放し飼いにすると、もう1ヶ月で無くなります。

 また水の摂取量も多く、1日あたり30L程度飲みますので、成人男子の15倍以上飲みます。夏場になると50L以上の水を飲みます。その水は井戸水を引いて準備しています。

牧場を経営するには様々な施設や重機などが必要

 牧場経営には様々な施設を整え、かつ重機を揃える必要に迫られます。餌を運ぶにも、堆肥を運んで処理するにも十分な設備や重機なしでは運営できません。

牛への餌を散布する機械牛への餌を運ぶコンベア餌を大量に保管する貯蔵庫

 大規模化すると人件費もかかり、その費用はなかなか大変なものがあります。第一次産業の中でも牧場経営は大きな資金を回す必要がありますので、経営者的な計算もきちんとしていかないといけません。

有機栽培にも貢献する循環型の堆肥処理施設

華川牧場における農業にも貢献する循環型の堆肥処理施設

 この施設は堆肥を乾燥させておく施設ですが、国の事業に乗り設備を整えました。牛はとにかく食べますので、堆肥の量も半端ではありません。堆肥を運び、それを乾燥させますと良好な肥料となります。それは格安で農家さんに販売しております。

 このような循環型の経営を実施する業者さんは増えてきておりますが、世の中の無駄を排除し、かつ自然な状況を保つのに、必要なことだと感じています。今後もこうした取組は増えて近代化されることでしょう。

今後を生き抜くための自家増殖事業

 現在、頭を悩ませていることは、仕入れの仔牛の値段が高騰していることであり、大資本の牧場でなければ仕入れが出来なくなってしまうのではないか、中堅規模の牧場では経営が危うくなってしまうのではないかという危機感があります。

 その対策として、当牧場では7年前の平成19年頃から牛の自己増殖事業に取り組みました。

仔牛がちょうど生まれたシーン

 利益率が良くなるので、今後軌道に乗せたい事業ではありますが、生後間もない牛を育てるのは手がかかり大変なリスクが伴います。人間を思い浮かべてもらっても、生後まもない赤ちゃんを育てるのと、3才児あたりからの手のかかり方を比較するとイメージしやすいのではないかと思います。

 今はまだノウハウの蓄積期だと心得ておりますので、思うようにいかないシーンもあるのですが、次第に手応えを得ています。この自家増殖事業を軌道に乗せて、安定して美味しいお肉を届けたいと切望して取り組んでいるところです。

安全・安心を担保するためのトレーサビリティ

 食の安全・安心は叫ばれて久しいのですが、当牧場も安全を確保するために、病気の予防や餌や水の衛生には気を十二分に使っております。そしてその安全への取り組みを担保するのに、確実に様々な履歴を残し、それをデータベースで管理しています。

 当初はそういうソフトも探しましたが、自社で管理できる若干データベースの知識はあったので、データベースに詳しい知人を頼りながら、自分の手でマイクロソフト・アクセスをプログラミングしてデータ管理しています。

 まだ全てのデータ管理するところまでは至っておりませんが、将来的にはワクチンを与えた経過や何かアクションを起こした経過などの履歴管理の精度を高め、トレーサビリティ管理の質を高めながら、食の安全・安心を守れるように努力する所存です。

食肉の安全を守るためのトレーサビリティ

農事組合法人華川牧場 会社概要

項目内容
会社名農事組合法人 華川牧場
代表者代表理事 小野 真太郎
所在地〒319-1533 茨城県北茨城市華川町下小津田396
連絡先TEL 0293-42-1042 FAX 0293-42-1092
飼養頭数約700頭
従業員数5名
特定の販売常陸農業協同組合・高萩地区統括部(TEL:0293-24-2221)までお問合せください
主な所属常陸農業協同組合(肥育部会所属)

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取材編集者からの後記

若手経営者である小野真太郎代表の活躍を期待

 現在代表の小野 真太郎様はまだ40才前の若い経営者です。お父さんが創業され、自身で2代目となります。「時代の波に乗って軌道に乗せることができました。」と謙遜しながらお話になっていましたが、設備を整え、重機を揃え、餌や水に神経を使い、牛の日常に気遣いながらの生活は、休む間もないことでしょう。自家増殖事業に果敢に取り組んだり、トレーサビリティのために自分でプログラミングするなど、若さがなせる積極的な姿勢が素晴らしいと感じました。当のご本人は落ち着いた感じであり、ナイスガイという風の経営者でした。ご本人の写真掲載は勘弁して欲しいということでしたが、小さくした写真でご紹介します。今後の華川牧場さまの活躍をご祈念いたします。

農事組合法人華川牧場 代表理事 小野 真太郎

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