
残業削減時に重要な人の内面に潜む複雑な欲求
残業削減を考える時に忘れてはならない
人の“内面”に潜む複雑な欲求
心の問題を経営的にとらえるために
今月の経営マネジメントレポートの趣旨とポイント
今月の経営マネジメント・レポートは、【 総務的発想の新戦略経営シリーズ 】第15話として、残業削減を考える時に忘れてはならない、人間の“内面”に潜む複雑な欲求というタイトルで作成しています。
人と人との“個人的なつながり”が薄い大企業では、従業員の“内面的な要素”は、どちらかと言えば軽視される傾向にあるかも知れません。
しかし、人と人のつながりが自然に深くなる中堅中小企業では、そこに働く人の“心の問題”は、想像以上に大きな成果や問題の素になり得るのです。
そこで、特に“残業問題”をテーマとして、“内面問題”に踏み込んだレポートを、ご用意した次第です。
内容自体、“一概には言えない”部分が多いテーマではありますが、本レポートが、御社マネジメントに、少しでもお役に立てば幸いです。
経営者に対する警告、そして心のマネジメントへの招待状
これは、残業などの就業ルールを軽く見がちな経営者に対する“警告”であると同時に、現代に求められる“心のマネジメント”への招待状でもあります。
ただ、“心のマネジメント”とは、どのようなものなのでしょうか。
この後で少し補足しておきます。
全容が見えない専門特化の弊害:補足1
1980年代の終わり頃、アメリカで“経営学”を学ぶ大学院生がいたそうです。
彼は、大きな工場で“何か精密な機械を設計していた”そうです。
それは、軍用ミサイルの一部なのですが、ミサイルの全容どころか、どこのどんな部品なのかさえ知らされていません。
自分の部品が組み込まれた完成品を、彼は全く知らなかったのです。
そんな専門特化の中で、彼は“自分の存在の危うさ”を感じます。
それは、私は何のためにこんな仕事をしているのだろうという思いから始まり、『何のために生きているのだろう』という本質的な問いに、容易に進むのです。
そして一念発起し、仕事を辞めて経営学を学びます。
経営学を身に付け、企業のトップ・マネジメントに携われば、仕事の全容が見えて、悩みがなくなると考えたのでしょう。
今、彼がどうしているかは知りませんが、大きな企業の経営のトップ陣に入った後も、専門化されたマネジメントの一翼を担うだけで、同じ思いの中に浸っているかも知れません。
それとも、少し大人になって、別のところに、自分の存在感を見い出しているのでしょうか。
中堅中小企業に広がりだした問題:補足2
彼と同様に、専門化が進み、全容が見えなくなると、私たちは不安になり、どちらかと言うと、自分が何かの部品に陥っているかのような思いになりがちです。
そして、“自分の存在感”を意識させてくれるものを強く求めるようになります。
その過程で、うまく悩みを消化できれば何とかなりますが、失敗すると、心身症や閉じこもりに陥りかねないわけです。
自殺もあり得るでしょう。
全ての原因が“専門特化”にあるとは言えないでしょうが、現代の高度専門社会が、人の心を傷つけやすいのは事実でしょう。
今や、中堅中小企業でも“仕事の専門化”が進んでいます。
全容が見えない不安や不満に耐えられない人達が、今日も大量に生産されているわけです。
そんな状況にストップをかける役割が、我々社会保険労務士に期待されるのでしょうが、その前に、問題自体を経営者が“認知”する必要があるのです。
問題が“認知”されなければ、解決に向かわないばかりではなく、その支援を我々もしようも無いからです。
そんな手始めの一つに、今月のレポートがあります。
今月のメッセージ
人件費圧縮のために“残業”を減らそうとしても、なかなかうまく行かないことが少なくありません。
あるいは、従来問題にもならなかった“残業手当”が、急に大きなトラブルに発展することがあります。
なぜ、そんなことになるのでしょうか。
そこには“人の心の問題”があると指摘する人がいます。
そして、その指摘に従えば、もっと前向きな対応が可能だと言うのですが・・・。