
あまりにつらい環境である外堀を埋められた経営者
高度情報化がもたらした社会現象?
“外堀“のない城に住む現代経営者
保険会社の支社長の“証言”がヒントになった!
今月の経営マネジメントレポートの趣旨とポイント
今月のマネジメント・レポートは、《総務的発想の新戦略経営シリーズ》第18話として、“経営トップの責任”問題をとり上げました。
しかも、その内容は昨今の風潮を受け、“いかに責任を果たすか”ではなく、“過剰な責任追及に対し何を考え何を備えるか”をテーマに致しました。
もちろん経営責任は、軽々に逃れられるものでも、逃れるべきものでもありませんが、風潮に流された“必要以上の過剰責任”は、誰にも負う義務はないはずだと考えるからです。
ただ、そのためには、社会風潮の背景から考え始める必要がありそうです。
当レポートの内容が、御社マネジメントに、少しでもお役に立てば幸いです。
今月も少し補足が必要だと思われましたので、以下に展開してまいります。
“外堀”のない城:補足1
レポートの中では、顧客が担当者を飛ばして、直接経営者と“話したく”なる環境を、“外堀のない城”と名付け、その要因を、インターネットなどの情報化が高度になったからだと指摘しています。
ただ、ここには2つの意味があります。
第1の意味は、情報化でビジネスが複雑になったため、経営者にしか“全体像”が見えない業務が増えたことです。
担当は自分の領域業務しか知らず、それを外れる質問や要望を受けた時、対応し切れずに顧客を怒らせてしまう危険があるのです。
また、全体像を知らない担当者は、容易に責任を放棄する傾向もあります。
一方、第2の意味は、インターネットの常識化で、会社を相手にする一般の傾向が変わったということです。
社屋に赴くと、組織の重みや強さが容易に実感できるため、一般人には“責任追及”を行う気力が生まれにくいでしょう。
しかし、匿名のインターネットでは、メールなどを通じて、お友達感覚で企業にアプローチできるということです。
一流企業を我がもの顔に批判する“高慢なブログ”も少なくありません。
対処法はもっと総合的でなくて良いのか:補足2
しかし、その対処法は、1)客目線の業務チェックと2)現場の業務量のパランスチェックなどという悠長なものでよいのでしょうか。
結論から言うなら、“責任追及”のようなどうにでも転ぶあいまいな概念では、対処が過ぎるとそれを逆用されると申し上げなければならないのです。
たとえば、社会的責任対応のために、優秀な弁護士事務所とタイアップしたりすると、そのタイアップを“責任を隠すための汚い手口”などと言われかねないということです。
微妙な概念がからむ問題に大げさに関わると、泥沼に沈むかのような状況に追い込まれることも少ないとは言えません。
まずは、日常活動の襟を正すことから始めるのが得策なのです。
もちろん、問題が起きた時は、日常ではなく“非日常的な対応”が必要です。
しかし、平素は対応力より“観察力”の方が重要で役に立つと考えるべきかも知れません。
今月のメッセージ
経営トップが自社事業に対し、社会的責任を負うのは当然とのことだと言えますが、昨今の風潮では、その“トップ責任追及”が厳し過ぎると感じないではいられません。
その“責任追及”強化の背景には、いったい何があるのでしょうか。
その背景を探ってみると、ちょっと意外な現実が見えてくるとともに、対処の方向性も浮かび上がるようなのです。