
現代的組織活力はトップの適切な指示出し
過去と現在では必要となる活力の“質”が違う?
現代的な組織活力を創り出す視点
ある会社の創業者と後継者の激論の結末
今月の経営マネジメントレポートの趣旨とポイント
今月のマネジメント・レポートは、《総務的発想の新戦略経営シリーズ》第20話として、改めて“組織活力”について、考え直してみることにしました。
ただ“組織活力”を問題にすると、どうしても、今の中国のように、社会全体に活力がみなぎっていた頃との“比較”に陥りがちです。
しかし、活力とは表面的な“動”の部分ばかりではなく、内面の“静”の部分にも存在するように思います。
そして、従来とは違う“活力”を、今見いだして行くべき時期なのかも知れないと感じるのです。
そんな“感じ方”をベースに、本レポートをご用意いたしました。
本レポートの内容が、御社マネジメントに少しでもお役に立てば幸いです。
現代的な組織活力を創り出す視点とは、一口に言うと、経営トップが適切な指示を現場に出すことです。
以前とは違い“失敗”が許されない昨今では、現場が自由闊達に取り組む活力ではなく、組織が一丸となる時に発するパワーの方が重要だからです。
ただ、今月のレポートに登場する親子二代の経営者の、年齢的背景について、補足しておきたいと思います。
親子二代の経営者の年齢:補足1
レポートの先代経営者は、今年76歳になります。
1960年代半ばに、30歳代で住宅建売(大工)業を創業し、その後会社を大きくして、オイルショック後の1980年代に、事業を建売から住宅リフォーム業に鞍替えして“会社らしく”した上で、40歳後半から“内部管理”に取り組んだ世代です。
しかし、もともと内部管理に弱かった先代は、息子に“経営学”を学ばせる一方で、1990年代のバブル崩壊後、経営の難しさを痛感して、息子に事業承継をします。
息子は、40歳代はじめに事業を承継した後、54歳を迎える現在まで経営者としてガンバって来ましたが、バブル崩壊のみならず、最近の世界経済不況もあり、苦しみ続けました。
それが2010年に入って、大口受注の声も聞かれるようになり、ようやく“経営“”抜本的に考えてみる余裕が出たのです。
これは皮肉のようでもありますが、経営者が経営を考えるのは、まさに経営に余裕が出た時のようなのです。
親子二代の間にある壁と現代的状況:補足2
こうして見ると、先代経営者は、理屈より何より行動の時代に経営の成功体験を積んだ一方で、後継者は、科学的・戦略的に考えた行動を蓄積していることが分かります。
そして今、その両者を“弁証法”で言うところの“止揚”すべき時が来ているのかも知れません。
つまり、がむしゃらな行動と科学的思考を前提にしながらそのどちらでもあり、どちらでもない第三の道を創り出すことです。
もっとシンプルに言えば、創業者と後継者、あるいは戦後の復興世代と経済大国世代が、互いのよさを選びだして次の世代に伝える時期にあるということです。
もちろん、それはとても難しいことなので、まずは『そうすべきだ』という自覚を持つことから、取り組み始めるべきだという言い方が、最も現実的かも知れません。
今月のメッセージ
油断をしていると、いつの間にか“仕事(顧客)”が減る昨今では、積極的な姿勢が欠かせません。
しかし、単に従業員の姿勢を刺激するだけでは、複雑な昨今、皆がバラバラに動いて、かえって混乱することもあるのです。
以前のように、ただ従業員を刺激すれば良いとも言えない状況があるとしたら、今“何”を考えるべきなのでしょうか。