
経営方針を生かすための現実コントロール
経営方針だけでは不十分?
実際に組織を動かしたい時の基本視点
複雑な現実に単純な方針をぶつける時の不都合
今月の経営マネジメントレポートの趣旨とポイント
今月のHMレポートは【総務的発想の新戦略経営シリーズ】に続く【改めて“ヒト”と“組織”を考えるシリーズ】第5号として、『経営方針だけでは不十分? 実際に組織を動かしたい時の基本視点』として作成しています。
未曾有の大災害である『東関東大震災』から2ヶ月近くを過ぎました。なんとなく日常を取戻しつつも、これでいいのだろうかという葛藤があることも確かです。
しかし経営の手を止めることは出来ませんので、マネジメントを考察し続けます。
明確な方針を打ち出すことは、経営上必要なことであり、かつ重要です。
しかも、方針はシンプルでなければ、なかなか組織内に浸透しません。
ところが、時に、シンプルな指針が複雑な現実と衝突してしまうことがあります。
そしてそれが、たとえば“残業の取り扱いに関する組織内トラブル”のような問題に、発展してしまうケースもあるのです。
ではどうすればいいのか・・、その方法をご一緒に考えます。
本レポートの内容が、御社マネジメントに少しでもお役に立てば幸いです。
以下で当経営マネジメント・レポートの一部をご紹介いたしましょう。
ある企業で以前に起きた残業関連問題とは?
1》食品加工卸業のA社で昔あった残業問題
食品の加工卸を営むA社で、かつて残業が問題になったことがありました。
それは、一ヵ月の残業時間を制限するとともに全ての残業を部門管理者の許可制にするという大方針を打ち立てた後のことでした。
方針を作った時には、A社の社長は『これほど明確な方針なら、その後の運営は簡単なはずだ』と、自信を持っておられたそうです。
ところが、朝礼で方針を示した月から、実は問題が発生していたのです。
2》典型的な問題は・・
中でも典型的な問題だったのは、現場の担当者が管理者に残業の許可を求めに行った時、管理者の中には、
『残業をすると社長がうるさいんだよ。認めることはできないな。何とか残業なしでやってくれないか』
などと言い残して先に帰るような場合が出ていたことです。
一方、取引先からの連絡を待つ場合や、緊急の仕事が夕方発生したような時は、許可をとるタイミングを失うことがあります。
更には、担当者が『すぐに終わる』と考えていたのに、様々に手間取って、残業になるというケースも確かにあるのです。
そんな時に、いわゆるサービス残業が発生していました。
3》サービス残業よりもやっかいなこと?
“サービス残業“とは、申し上げるまでもなく、残業実態がありながら残業手当が支払われていないことを意味します。
そして残業実態が証明されれば、企業は、それ以前の2年間にさかのぼって残業手当の合計を支払う義務が発生しています。
サービス残業の時間数のみならず、対象者が多い時には、この支払い義務は巨額に達することもあります。
しかし、そんな支払い以上に問題なのは、残業して良いのか悪いのか“分かりにくい”状況で、現場が“やる気”を失ってしまうことかも知れません。
ただ、こんなに分かりやすい方針が、なぜ、様々に問題を生み出してしまうのでしょうか。
複雑な現実に単純な方針をぶつける時の不都合
1》方針自体が持つ弱点
実は“方針”には、それ自体が持つ“弱点”があります。
それを一口に言うなら、“複雑”と“単純”の葛藤なのだそうです。
一見難しく感じる表現ですが、それは、複雑な現実に単純な方針をぶつける時の不都合だと言えるかも知れません。
たとえば現実には、夕方まで暇だったのに、午後4時頃になって急に重要業務が入ることがあります。
一日の労働時間は午前9時から午後6時までの休憩を除く8時間と単純に決めていても、実際の業務はそんな決めごとを考慮してはくれません。
複雑な現実は、しばしば単純に決めた方針に矛盾する形で動くという意味で“単純と複雑の葛藤”と表現するわけです。
2》では方針は不要なのか?
では単純に陥りがちな方針や決めごとは、役に立たないから不要なのでしょうか。
もちろん、そんなことはありません。
もし、就業時間が朝の9時から夕方の6時だと決まっていなかったら、事態は更に混乱するからです。
たとえば『昨夜は遅くまで仕事をしたから、今日の出社は午後からにしよう』などと、それぞれの従業員が気ままな働き方をしたのでは、会社の活動自体が成り立たないでしょう。
つまり、方針(決めごと)は必要ですが、同時に“弱い”存在だという“認識”が重要なのです。
3》方針のパワーを生かすには
では、どうすれば良いのでしょうか。
それは、基本的には、矛盾する現状の方を方針(決めごと)に合うよう整理するということに尽きると思います。
すなわち事実を的確に把握するように努め、現実に即した解釈を組織で定着させることです。
たとえば、“ルール違反の残業”が生じたような場合、まずは、その残業が、なぜ、誰の判断で、どのように行われ、その結果はどうだったかを“整理”した上で“判定”しなければならないということです。
それは確かに手間ですが、手間を惜しむと、事態は更に深刻化してしまうことが多いのです。
続きはレポートの中で
この話は、次のように展開されていきます。
- 現場の管理能力強化から組織の良識共有へ
- 良識共有なきところに悪しき習慣あり!
- 4ステップで複雑な現実をコントロールする
トラブルは重要部分ではなく、むしろ枝葉の小さなことに関する行き違いから発生するケースが多いものですが、その解決のヒントについて述べてあります。
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