コロナショック「日本株大暴落」を覚悟する理由が怖い

2020年3月30日

コロナショック「日本株大暴落」を覚悟する理由

 新型コロナウイルス拡大の懸念は影響が大きく、実体経済にも様々な影響を及ぼしています。
 従って、最近のニュースからは目が離せません。

 コロナウイルス拡大のショックで、「日本株暴落」も心配だと感じている向きは多いと予想しますが、そんな中、当該の記事も目を引きました。忘れ防止に、そのまま転載させていただきます。

 とにかく無事に収束することを祈るばかりです。

コロナショック「日本株大暴落」を覚悟する理由

東洋経済オンライン2020/03/03 15:40配信
https://toyokeizai.net/articles/-/334249

 全国的に外出の自粛ムードが広まることでいよいよコロナショックが実体経済を悪化させ始めました。今回の記事では乱高下する株式市場の今後の下落についてどこまでの覚悟が必要なのかを書きたいと思います。

 私は投資家であると同時に経済の未来予測の専門家ですが、未来予測のテクニックとして重視していることのひとつが「ふとした奇妙な現象に気づく」ことです。先週末(2月29日)から今日(3月3日)にかけて4つの異変に気づきました。そこから話をしましょう。

 1つめの異変はヤフオクくじに当たったことです。「なんだ? 自慢か?」と思うかもしれませんが、ちょっと不可解なのです。

 ヤフオクくじは定期的にヤフオクが行っているキャンペーンで、1日1回くじを引いて当たりが出るとその日の落札金額から一定額のPayPay(ペイペイ)が還元してもらえるというものです。私もちょくちょく引いているのですが、普段は当たっても3%とか1%の還元で、くじに外れることも多いという感じでした。10%が当たると結構うれしい。それが普通の状況です。

 ところが先週末、くじを引いたら50%還元が当たったのです。初めてのことでした。それで自慢したところ家族もくじを引いたら30%還元が当たりました。ちょっとおかしいと思い翌日もくじを引いたところ私は20%、家族は2日連続で30%還元を当てたのです。

ヤフオクにとってテコ入れが必要な状況?

 プロのアナリストの視点で申し上げると、この当選率は統計学的には有意に高い。さらにキャンペーンの裏側を知っているコンサルタントの視点で解説すると、くじを引いている人が少ないから当選率が上がったか、最初から大幅に当たりを増量したかに違いありません。これはどちらにしても「ヤフオクにとってはテコ入れが必要な状況」になっている可能性を示唆します。

 2つめの異変ですが、予約が本当に取れないミシュランの三ツ星レストランがあります。2カ月先までしか予約を取らず、予約開始直後に予約は完売。キャンセルが出たら登録している会員にメール連絡が入るのですが即座に申し込んでももう埋まってしまっている。そんなお店です。

 そのお店のオンライン予約をふとのぞいてみたら、予約が取れる日がありました。おそらくキャンセルが出たと思われる1日だけ、それも1テーブルだけですが、オンラインで予約が取れる状況になっている。「そういうことが起きているかもしれない」と思ってオンライン予約を見たのですが、実際にあのお店の席がわずかに空いている。これも異変です。

 3つめの異変は月曜日の朝。オンラインで定期購読をしている『少年ジャンプ』の『鬼滅の刃』だけ読んでから出社しようと思ったら、なかなかサイトにつながらない。混み合っているからです。調べてみると学校が臨時的に全国休校になったのに合わせて、集英社が『週刊少年ジャンプ』の1号から最新13号までを無料公開しているのです。

 これは「外出の難しい子どもたちに少しでも笑顔を届けるため」に急遽きめたことだといいますが、バックナンバーを10冊以上無料公開するのは過去なかった規模のことです。部数の減少に悩む少年漫画誌としてはファンを再び呼び込むチャンスにもなる英断だと思いますが、逆に言えばこれくらい思い切ったことをやることを編集部が決められるだけの経済事情も背景にはあったのだと思われます。

消費増税の影響も加わり景気は急悪化へ

 さて、ここでいったん、マクロの景気情報を確認してみましょう。先月公表された2019年10~12月期のGDP速報で実質成長率が年率換算でマイナス6.3%と予想を悪いほうに大きく上回る下落だったことが波紋を呼びました。消費税の増税による消費減速が大きくきいているのは明白ですが、政府はこの段階では「台風の影響などもあり」という形であたかも一時的な景気減速のように説明をしていました。

 しかし次回、5月に発表されることになる2020年1~3月期の数字は増税による消費停滞に加えコロナショックの影響が加わるので、ここも大幅な悪化を示す数値になるのは間違いないでしょう。ここまでに述べた3つの兆しだけではなく、日々観察しているミクロ経済の兆しは足元の景気は相当悪いほうにいきそうだという点では共通しています。

 ではここで4つめの異変の話です。3月2日のNY株式市場のダウ平均は過去最高の1293ドルの上げ幅を見せました。上昇率は1日で5.1%と驚異的な上昇です。もちろん背景には過去1週間の急落があります。それまで高値圏を維持していたダウは先々週の金曜日から先週末までに歴史的な急落を見せてマイナス12.4%も下落しました。そこから週が明けて5.1%戻したということは、先週のコロナショックでの株式下落が「ちょっと行き過ぎた」と市場が判断したということです。

 ではNY市場に関して言うとコロナショックの影響はどれくらいの下落になるのでしょう。想定されていることとしては、新型コロナの影響がどうやら世界に広まり、世界的に景気停滞が起きるところまでは情報として織り込み済みのはずです。特に世界の4分の1を生産する中国の工場の稼働が止まるわけですから、中国で感染者数が大幅に拡大するだけで世界経済の停滞は避けられない。ここはわかっています。

 ただし状況は2003年のSARSショックのときよりも悪いとしても、今回の爆発的な感染拡大は夏には終息するという想定の投資家も多い。今回のコロナショックは2020年1年間の経済への大打撃だととらえるのが市場関係者の中心的な考え方のようです。

戻したとはいえNYの株価はこわごわ

 NYの株式市場はつい先日まで市場最高値を更新していた過熱状態だったうえに、それが恐怖をともなって急落しています。先週、いったん12%下げて、昨日戻した段階で計算しても、まだピークから8%下がった段階です。戻したとはいえNYの株価はこわごわと動いているというのが実感です。

 そこで問題なのは「じゃあ日本の株価はどうなるのか?」ということです。

 日本のほうがコロナショックはアメリカよりも早く始まっています。私が最初に新型肺炎の記事を書いたのが1月17日でしたが、その日が直近の高値で、現在はそこから3月2日の始値までに日経平均はマイナス13.6%下げています。いつものことですが、日本の株式のほうがアメリカよりも下がりやすい傾向があります。

 この日はNYの反発を受けて株価は戻して3月3日の始値は3.8%増、しかしそこからまたずるずると株価は下げに転じています。

 実はこれは微妙な兆候で、今後の新型コロナの動き次第ではNYと違って日本の株価はもっと下がる危険性がある。嫌な状況だと私は認識しています。

 そうならないことがいちばんいいのですが、リスクとして日本経済にはこれからさらに2つのショックが起きる危険性があります。1つはこの2週間が頑張りどころだといわれているコロナウィルスの封じ込めが失敗した場合。中国と同様、爆発的な感染拡大により日本の状況が悪化するリスクです。そうなるとNY市場と違い、自国の経済が長期停止することになるため、今よりも一段の株価の悪化は避けがたいことになります。

 もう1つのショックは、これは本当に起きてほしくないのですが、日本でこれからパンデミックが起きた場合、それが数カ月続くと、時期的にオリンピック中止のリスクまで浮上してくるということです。

 そもそも我が国の株価はこの夏のオリンピック景気が織り込まれた水準だったわけです。その経済効果は30兆円と計算されていました。その中で過半を占めるのがオリンピックに向けたインフラ建設による経済効果で、この投資についてはすでに実現しているので心配はいりません。問題はオリンピック開催によって加わるはずだった12兆円のインバウンド消費効果で、この数字はオリンピックが中止されると日本経済にダイレクトなマイナスをもたらします。

日本の場合は影響が1年で済まないかも

 日本の場合は影響が1年で済まないかもしれない。理由はそもそも昨年10月の消費増税で景気が悪化しはじめているからです。それをオリンピック景気で乗り越えようとしていたのにオリンピックがなくなってしまったらどうなるのか?  そしてオリンピックがなくなる場合、すでに新型コロナで日本経済が大打撃を受けているので、それがどれほど甚大なのかが問題になります。

 それらの新たなリスクを考えると日本の株式市場は悪いほうに1段階転がれば日経平均1万9000円割れまで起きる可能性がある。

 これは1月17日を基準に考えると20%以上下落した水準ですが、リーマンショックのときのように名だたる日本企業が軒並み大赤字になるという、その覚悟をしながら状況を見守る必要があるのだということです。

 ただ本当にオリンピックが中止になれば景気の前提が完全に変わるうえにパニック売りも起きますから、それで済むとは思えない。投資家としての私はびくびくしながら株式市場を見守っています。

鈴木 貴博氏 :経済評論家、百年コンサルティング代表