桐下駄創作の筑西市「桐乃華工房」代表猪ノ原昭廣さん レポート1

 こんにちは。
 突撃取材隊4号のかつーんです。

 茨城県西部に位置する筑西市の「桐乃華工房(猪ノ原桐材木工所)」さんにお邪魔してきました。

猪ノ原桐材木工所

 こちらの桐乃華工房さんは関東地方で唯一、原木の製材から製造まで一貫作業で行っている工房でもあります。

 今ではめっきり減ってしまった桐下駄の職人さんたち。そんな中で日常的な草履から高級な下駄、面白い下駄など見る人、履く人を楽しませてくれる猪ノ原昭廣さんが代表を務める「桐乃華工房」さんをご紹介したいと思います。

 この日は当然の訪問にもかかわらず、猪ノ原代表自ら作業場のご案内をしていただきました。猪ノ原代表、本当にありがとうございました。

 製造現場をご紹介する前に桐について少し勉強してみました。

桐について

桐の特徴

  • 桐の産地は福島県、新潟県が有名だが、今は秋田県の生産量が日本一
  • 桐は日本で1番軽い材木
  • 軽い材木だけど丈夫で折れない、耐摩耗性がある
  • 耐火性、断熱性、音響性に優れている
  • 収縮率が小さいため、加工がしやすい
  • 材質が優美で高級感がある

 日本と外国産の桐の違いについて、猪ノ原代表は「切ったり、削ったりしていると木が締まっているのが分かる、加工しても艶が良いし、外国産の桐は油っ気が抜けていてぱさぱさしている、土壌が違うせいか、これだけはごまかしがきかない」と外国産の桐との質の違いを解説していただきました。日本の桐材は世界的に見ても品質が優れているんですね。

原木の製材から製造まで

 桐乃華工房さんでは桐の原木丸太から下駄の形に加工していきます。原木から製造加工までの一貫作業をやっているところは関東ではここしかないとのことで本当に貴重な現場を見させていただきました。

桐の原木丸太 機械で下駄の形に切った生地

桐の原木

桐下駄生地


5本指の下駄生地もありました。非常に面白い創作をされております。

五本足の下駄

最後の総仕上げの作業場です。
ノミやカンナを使ってきれいに仕上げていって初めて生地が出来上がります。
塗装する前の生地を手に持ってみたところ、非常に軽くびっくりしました。

総仕上げの作業場 きれいに並べられた職人の魂が宿る道具たち

作業場

ノミとカンナ


 ここから猪ノ原さんの魂のこもった桐下駄が生まれていくのですね。

リピーター率NO1!「カラス表」の草履

カラス表

 こちらは竹の皮で編んでおり、これだけ編んでいても草履自体は柔らかく、ふわふわしています。吸水性があり、夏は涼しく、冬は暖かい、1年中履けて、丈夫で長持ちです。色が黒く、畳のように編んであるため、「カラス表」と名付けたそうです。

 実は代表も履かれており、4年以上履いていてもほとんど裏のスポンジ部分は擦り減らず、草履自体もまだまだしっかりしていました。リピーター率はNO1!履いた人にはその良さが分かる自慢の一品とのことです。

 また、なかなか見ることのできない作業風景を見させていただきました。

しっかり編みこまれた草履に鼻緒を取りつけたもの 草履の裏面に付けたスポンジをプレス機で接着させます

鼻緒を取り付けたカラス表

プレス機でスポンジを取り付ける

皆さん、慣れた手つきで完成形に仕上げていき、草履に魂を吹き込んでいました。熟練の技を間近で見させていただき、ありがとうございました。

 草履作製について猪ノ原代表曰く、「みんな、値段ばかり気にして手に取るようになってしまって、本物が分からなくなってきている、ホームセンターで売っているような中国製の安い草履とは訳が違う。」
 ちなみに「カラス表」の値段は7,000円程。私はその値段を聞いて一瞬高いと思ってしまいましたが、職人さんの手で1つ1つ手作りされていて非常に手間がかかり、耐久性、品質、そして、1つ1つ心が込められて作られていることを考えればそれだけの価値はあるものだと勉強させていただきました。

この続きは「桐下駄創作は面白い!筑西市「桐乃華工房」代表猪ノ原昭廣さん レポート2」でお伝えしたいと思います。

工芸品筑西市

Posted by takashi_kato