震災に負けない涸沼のひぬまやまとしじみ

2020年1月12日

 先日、ひぬまやまとしじみを取材するために茨城町涸沼に行ってきました。

汽水湖として成り立つ涸沼

 海から約8キロの距離にある涸沼は、満潮時には涸沼川を遡って海水が流れ込む、全国でもめずらしい汽水湖です。大和しじみは日本でも有数の漁獲量を誇ります。釣りの名所でハゼ・ボラ・シーバス・鯉などが釣れます。

ひぬまやまとしじみ

 一般的に流通している国産しじみは「大和しじみ」という種類ですが、養分が豊富な涸沼および涸沼川で採れるしじみは厚みのあるのが特長で、大涸沼漁業協同組合が自主的に定めた管理基準を満たした涸沼産のしじみを「ひぬまやまとしじみ」のブランド名で販売しています。

ひぬまやまとしじみは厚みがあります

水質の悪化や護岸工事や密漁などの影響により年々減少

 涸沼は、全国の湖沼別順位で第4位(1999年)の漁獲量を誇っていますが、水質の悪化や護岸工事や密漁などの影響により、年々減少しています。

 2011年の東日本大震災時の一時漁の見合わせからさらに漁獲量が減少しましたが、大涸沼漁協が行っている稚貝の放流の成果もあり、徐々に漁獲量が復活してきています。

涸沼での漁の様子です

全国でもめずらしい手掻き操業

 機械を使わず、全国でもめずらしい「手掻き操業」で捕獲することにより、キズは最小限に抑えられ、鮮度も長持ち、良質なしじみを産出しています。

 漁が出来るのは240名の選ばれた漁師だけです。漁師の人数を制限することで資源保護に努めています。また、しじみを掘るカゴは乱獲を防ぐために、大涸沼漁協で指定されているものを必ず使うようルールとして決められています。

しじみを採るカゴです

 しじみ漁のは基本的に午前中に行われます。時間は夏は午前7時から11時・冬は午前8時から12時までと決められています。

涸沼はラムサール条約登録を目指しています

 現在(2015年2月)涸沼は『2015年のラムサール条約湿地に登録』されることを目指しています。このラムサール条約は、たくさんの水鳥や生き物が利用する湖や沼など、国際的に重要な湿地を守るための条約です。

 そんなラムサール条約の登録を目指している涸沼は、鉾田市・茨城町・大洗町の1市2町にまたがる湖。川の水と海の水が入り混じっている「汽水湖」と豊かな自然のおかげでたくさんの生き物が生息しています。地元の自然を守るため、将来の世代へこの豊かな環境を引き継いでいけるよう地域一体となって目指していきたい条約だと思います。大涸沼漁業協同組合もこのラムサール条約の登録を機にさらに環境保全活動に取り組んでいきたいと考えているそうです。

水鳥が飛来する涸沼はラムサール条約の登録を目指しています

 しじみには肝機能を向上させるので「お酒を飲んだ翌日にしじみ汁を飲むと良い」と昔から言われています。しじみには「ビタミン」「カルシウム」「タウリン」「鉄分」などの栄養素がたっぷり含まれています。これら栄養素の働きにより弱った肝機能を正常に戻してくれます。

 栄養豊富で美容と健康にもいい涸沼(ひぬま)のしじみを味わってみてはいかがですか。