国の伝統的工芸品に指定されている笠間市の郷土工芸品「笠間焼」

 去る9月4日から7日まで開催の茨城県庁舎2階で行われた茨城県郷土工芸品展にて笠間市の「笠間焼」大津晃窯の大津美保子さんに取材をさせていただきました。

大津晃窯の大津美保子さん,笠間,郷土工芸品,茨城県

「笠間焼」の成り立ち

 江戸時代の安永年中(1772~1780)の頃、箱田村(現・笠間市箱田)の久野半右衛門道延が始めたと言われています。半右衛門が信楽焼の陶器職人である長右衛門に出会ったことで信楽焼に興味を持ち、また笠間には陶器づくりに適した粘土があることが分かり、長右衛門の指導の下、窯を開いたとされています。その後、本格的な製陶が始まり、広まっていったと言われています。

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「笠間焼」の特徴

 笠間の土は粘りがあり、ろくろには向いていますが、収縮率が大きく変形しやすいため、機械による大量生産には向いていなかったそうです。そのため、作家さんたちは各産地の土をブレンドして使用していきました。産地の土にとらわれない自由な作風が出来上がったため、笠間焼は「特徴がないのが特徴」とも言われています。
ただ、笠間焼は二百有余年も続く伝統的技法と笠間の土の素朴さから出る温かみのある作品や現代的なアート感覚を融合させた作品があり魅力的な笠間焼が数多く存在しています。

笠間焼の特徴,かさま

「笠間焼」の工程

1.土もみ(菊練り):菊の花びらのようにねり、空気をぬいて、水分の均一化をはかります。
2.成型:ろくろ、型起し、手ひねりにより成型をしていきます。
3.乾燥:ひずみや亀裂を生じないように平均的に乾燥をさせます。
4.素焼:600~800℃くらいで素焼きをしていきます。
5.釉掛:浸し掛け、流し掛けなど釉薬をかけます。
6.本焼:1200~1300℃くらいで本焼成をしていきます。

ロクロでの成形の様子

【第30回茨城県郷土工芸品展】笠間焼作陶の実演風景

作品集

卵を白身と黄身に簡単に分けることができる陶器です。

卵を白身と黄身に簡単に分けることができる陶器です。

納豆をまぜる陶器

納豆をまぜるのに適しています。

創造性豊かなデザインの美術工芸品や器を意欲的に制作されている

大津晃窯さんは国道355号線沿いで分かりやすいところにある

編集者の後記

 今回、取材させていただいた大津晃窯さんには伝統工芸士の資格を持つ大津寛司氏、大津晃一氏をはじめとする制作スタッフが創造性豊かなデザインの美術工芸品や器を意欲的に制作されていらっしゃるそうです。
また、陶芸教室を実施されておりロクロ、手ひねり、絵付け体験など自分が作りたいお気に入り作品の作陶体験ができるそうです。
 大津晃窯さんは国道355号線沿いで分かりやすいところにあり、よく観光バスで陶芸教室をご利用になられるお客様が多くいらっしゃるようです。茨城県内、県外の方にひとりでも多くの方が笠間焼に興味を持っていただき、見て、触れて、実際に体験して笠間焼の良さを少しでも知っていただければと深く感じました。