原料栽培、製作まで一貫した手作りつくば市郷土工芸品「大穂のほうき」

 9月4日から7日まで開催の茨城県庁舎2階で行われた茨城県郷土工芸品展にて

つくば市の「大穂のほうき」 つくばのほうき工房の酒井豊四郎さんに取材をさせていただきました。

会場様子

 大穂のほうきは、学名で「ほうきもろこし」と呼ばれる「ほうき草」からあまたのほうきを製作していきます。

「大穂のほうき」の成り立ち

 栃木県鹿沼でほうき作りの奉公を終えたほうき職人が「ほうきもろこし」の種子を持ち帰り、昭和の初め頃から茨城県筑波郡大穂町(現在のつくば市)で広く栽培されるようになったようです。また、関東ローム層が広がる関東平野では「ほうきもろこし」の栽培に適しており多くの栽培農家があったそうです。

ほうき草

 室内用から室外用まで様々なほうきが並んでいます。

ほうき

大穂のほうき製作工程

工程
工程2
工程3

 ローラーを使って実をそぎ落としていきます。

工程4

 この工程が仕上がりに大きな影響を与えるようです。

工程5

 天日干しされた草をそれぞれ束ねながら職人の手で一つ一つ手作りで様々な種類のほうきが作られていきます。

工程6

 職人の手によって針金や糸で束をまとめていきます。

 その後、仕上がったほうきを天日干ししたら、「大穂のほうき」の出来上がりです。

工程7

編集者の後記

 「ほうきもろこし」を栽培して加工してほうきを製作するところまで全工程をすべて行っていらっしゃる酒井さん。この日は、実演をされていらっしゃり、ほうきの製作工程の一部を拝見させていただきましたが、黙々と製作に打ち込まれている姿はまさに職人。糸や針金で束ねるときはぎゅっ、ぎゅっと強く締められていらっしゃったのでかなり力を要する作業なのだなあと感じました。

 妥協を許さない職人の感覚が酒井さんの手で作られるすべてのほうきに伝わっています。だからこそ、長年使ってもらえるほうきになるのだなと感じました。

 つくば市の郷土工芸品「大穂のほうき」。一家にひとつ置いておきたい伝統のほうきです。