平安時代の美しき和紙を現代に常陸太田市郷土工芸品「かな料紙」
9月4日から7日まで開催の茨城県庁舎2階で行われた茨城県郷土工芸品展にて
常陸太田市の「かな料紙」小室かな料紙工房の小室久さんに取材をさせていただきました。
かな料紙とは書道のかな文字を書くための用紙のことをいいます。平安時代に発達したかな文字を書くための装飾された和紙を現代に引き継がれております。
また、ジブリ映画「かぐや姫の物語」の映画タイトルの背景にかな料紙が使われているそうです。「かぐや姫」の描写を表現するにはぴったりの背面紙だったのでしょうね。
かな料紙の成り立ち
小室久さんの御祖父である創業者の小室徳氏が東京で古筆の複製事業に参加し、同事業に加わっていた染色職人、木版画職人、箔加工職人などから技術を学び大学教授や書道家の先生方からの指導を受け、一人で全工程を手掛けるようになりました。その後、常陸太田市で工房を開き、義久氏、久さんに受け継がれています。
かな料紙の種類
かな料紙にはいくつかの種類があります。
染紙
楢の木の皮を煮出したものや黄色を染めるための黄檗(おおばく)、赤を染めるための蘇芳(すおう)を使い染色した和紙です。
唐紙
美しい絵柄を下書きしたのちに彫り、版木を作り、それを丁寧に摺った和紙です。
こちらは版木です。
箔紙
金や銀などの箔をちりばめた美しい和紙です。
継紙
いくつかの紙を切ったり、破ったりしてそれを再び張り合わせた和紙です。
かな料紙作品集
編集者の後記
千年以上も前の技術を現代に脈々と受け継いでいる小室さん。日本の美しいかな文字文化が千年の時を超えて今の世の中に残っているのは装飾された和紙があったからです。
今回のかな料紙を取材させていただいて、描いた文字を美しく魅せるためには綺麗に書くというのは言うまでもなく、美しい料紙によってさらに美しさを引き立たせるのではないかなと感じました。
このこだわりもさることながら、染め、彫り、装飾、紙継ぎと一人での仕上げにこだわっており、伝統を重んじる職人の手仕事であると感じました。これからも益々かな料紙の魅力を発信していただきたいと思う次第であります。
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